
《画像提供:サンリツ服部美術館様》
サンリツ服部美術館
諏訪湖の目の前に佇む、美しい水辺の美術館。「水辺より湧き上がる雲」をイメージした建物が周囲の自然と溶け合い、心地よい空気を漂わせています。サンリツ服部美術館は、服部時計店3代目社長の服部正次氏、その息子でありセイコーエプソンの初代代表取締役社長となった服部一郎氏、そして関連会社のサンリツ工業株式会社のコレクションを展示する美術館として、平成7年(1995年)に開館しました。
この美術館の最大の魅力は、東西の芸術文化に触れられる点です。古美術品から西洋近代絵画まで、約1400点を所蔵し、その中には国宝や重要文化財も多数含まれます。古美術品、特に茶道具(絵画・書・工芸品)を集めたのは服部正次氏でした。服部正次氏は義父である製薬会社・三共(現・第一三共)の創業者で茶人、美術収集家でもあった塩原又策の影響を受けて茶の道に入り、山楓(さんぷう)と号しました。山楓の見立てによる数々の優品は、今もなお人々の心に響き、侘びや幽玄美の世界に誘います。

中でも、国宝『白楽茶碗 銘 不二山』(本阿弥光悦作)は、桃山時代以来に作られた茶の湯の茶碗の中でも最も品格の高いといわれています。そもそも光悦は刀剣の鑑定を本業とする傍ら陶芸も行っていました。そのため、作られた茶碗の数も多くはなく、現存している作品も10点ほど。その中でも一番の名作とされるのが『白楽茶碗 銘 不二山』です。
光悦が嫁ぐ娘のために精魂込めて制作したという温かなエピソードが残り、振袖の裂に包んで持たせたことから、「振袖茶碗」とも呼ばれています。
一方、西洋の絵画を集めたのは、服部一郎氏でした。優れた感性により収集されたヨーロッパの近代絵画には、ルノワールの『女の肖像』『洗濯女』をはじめ、デュルメール、ルオーらの名作が並びます。さらに、橋本雅邦や岸田劉生などの日本を代表する画家の作品も所蔵し、西洋がもつ創造への力強い世界に触れることができます。
諏訪湖の風景とともに楽しむ古来東洋、近代西洋の芸術作品。日本を代表する建築家・内井昭蔵氏が設計した心地よい空間で、安らぎのひとときをお過ごしください。
<現在の展示>
● 展示室1:服部一郎記念室
「私室に飾る 私室を描く」
個人宅での鑑賞を念頭に置いた「小型の作品」と、仕事場や私室など「親密な空間」を描いた作品の二つの視点から紹介。絵画作品との親密な時間が楽しめます。
(前期:2026年4月26日~9月27日/後期:10月4日~2027年4月11日)

● 展示室2:特別企画展
「茶道具をめぐる物語」
茶道具の由緒や伝来に注目した展覧会。国宝『白楽茶碗 銘 不二山』をはじめ、持ち主が変わるたびに銘が付け替えられた『瀬戸新兵衛茶入 銘 弁舌』、明治~大正期の元勲・井上馨が入手した喜びから七重目の箱を誂えた『黒楽茶碗 銘 雁取』など、茶道具の優品を公開。それぞれの茶道具が歩んできた歴史をたどることができます。
(前期:7月19日~8月25日/後期:8月27日~9月27日)

