いつでも原田泰治の世界に会える美術館
旧ユーゴスラビアへ世界的素朴画家イワン・ラブジンを訪ね、アメリカで展覧会を開くなど、日本だけでなく世界にも活動の場を広げていった原田泰治。日本を代表する画家としても知られるようになり、平成9年(1997年)には長野冬季オリンピック競技大会文化芸術祭に参加して「ふるさと四季の風 ― 原田泰治の世界展」を出展しました。
その後も、画集や絵本の出版、国内での展覧会に続き、ブラジルのサンパウロとリオデジャネイロ、メキシコ、コスタリカ、ニカラグアで取材や展覧会、絵本の映画化、人気歌手のCDジャケットを手掛けるなど、精力的に活動。また、上田電鉄別所線、上田ガスホルダーのデザインラッピング、諏訪湖水陸両用観光バスのデザインラッピングなど故郷の風景を彩る仕事にも携わりました。
数多くの作品を生み出し、人々の心に穏やかな感動を与え続けてくれた原田泰治は、令和4年(2022年)に81歳で永眠。故人の希望により、諏訪湖畔から81発の追悼昼花火が打ち上げられたといいます。
生前、原田泰治は、長野県諏訪市に朝日新聞日曜版「原田泰治の世界」のシリーズ全127点を含む155点の原画を寄贈していました。そして、平成10年(1998年)に諏訪湖畔に諏訪市原田泰治美術館が開館。深い親交のあった歌手のさだまさしさんが名誉館長になりました。館内では、原田泰治がふるさとをテーマに全国を取材して描きあげた数々の作品を展示。懐かしいふるさとの風景に心癒されるひとときが楽しめると人気を集め、平成20年(2008年)には、入館者100万人を達成しました。
美術館には、2つの願いが込められているのだそうです。一つはナイーブアート(素朴画)の発信拠点として成長、発展する美術館になること、そしてもう一つは、人々に愛される「人に優しい美術館」であること。車いすを常備するバリアフリーの館内には、目や耳が不自由な方でも楽しめるコンテンツを用意し、また展示室では車いすで楽しめるよう低めに絵が展示されるなど、細やかな優しい配慮がなされています。
素朴画の巨匠・原田泰治の優しさを感じる諏訪市原田泰治美術館で、彼の描いた心温まる数々の名作を楽しむ・・・。この春、諏訪湖を訪れて、特別な時間を過ごしてみませんか?
企画展のご案内 (春~夏)
□名称:原田泰治が描く[美しい日本の童謡・唱歌展]
日本人の心の原点ともいえる童謡・唱歌を未来に伝え残したいと、一曲一曲のイメージに合わせ、2年の歳月にわたって制作された作品100点を、その歌詞とともに全館一斉展示。
全国各地のふるさとの風景の他に、原田泰治さんが編み出した『切り抜き重ね絵』という制作方法による作品も紹介します。
□会期:令和6年4月11日(木)~9月29日(日)
休館日:月曜日(祝日は開館)
開館時間:9:00~17:00 (最終入館16:30)