新着情報

上諏訪温泉しんゆ~諏訪地方に伝わる龍神伝説02~

画像提供:(一社)安曇野市観光協会

犀川と松本・安曇野の大地
龍神伝説が数多く残る諏訪地方。けれども、龍神伝説は諏訪だけでなく、信州の他の地域にも関係する話もあるのをご存じでしょうか。そして、やはり諏訪大明神(諏訪大社)にも深い関りがあるのがおもしろいところです。

昔、松本平は大きな湖でした。この湖には犀龍(さいりゅう)、湖の東に位置する高梨の池には白龍王(はくりゅうおう)が住んでいました。二匹は結婚し、はちぶせ山に人間の子どもを産みました。この子は、泉小太郎と名付けられましたが、二匹の龍は人間を育てることができず、小太郎を残して湖へと帰りました。そして、小太郎は、村の貧しいおばあさんに引き取られました。

大きくなった小太郎は、不思議な力がありました。村の子供たちは、力が強く、水の中でもすいすい泳げる小太郎を見て、化け物ではないかと噂するようになりました。小太郎がおばあさんに、両親は人間ではないのか、どこにいるのかと尋ねると、おばあさんは、もしかしたら龍の子かもしれないと教えてくれました。

本当のことを知りたいと思った小太郎は、大きな湖のほとりを歩いて母親の龍を探しました。尾入沢(おいりさわ)という場所についたとき、母親を探す小太郎の声に水面が波立ち、犀龍が現れました。小太郎は驚くことも怖がることもせずに母親との再会を喜び、また、犀龍も小太郎が間違いなく龍の子であること、自分が諏訪大明神の化身であることを伝えました。

小太郎は犀龍に自分が暮らす貧しい村の様子を話しました。すると、犀龍はこの湖を突き破り、水を落として人里にしようと、背中に小太郎を乗せて舞い上がりました。犀龍は三清路(さんせいじ)の大きな岩を砕き、水内の橋の下の岩山にも体当たりを繰り返し、岩は崩れその隙間を水が越後の海へと流れていきました。

疲れ果てた犀龍は夫のもとへ戻り、小太郎は村へ戻って大家族を作ったといわれます。
犀龍と小太郎が開いた水の道は犀川(さいがわ)とよばれ、湖水がなくなり平らになった松本と安曇野ではたくさんの作物がつくられ、人々の生活も豊かになりました。

これは、松本藩内および信濃国内の地理・歴史を記述した『信府統記』に記されている『泉小太郎伝説』です。民話ゆかりの地である松本市・安曇野市などには、伝説にちなむ銅像や石像が建立されています。
なつかしい『日本昔ばなし』に出てくる大きな龍は犀龍(諏訪大明神)、上に乗っている子どもは小太郎です。こんな話を聞くと、信州、そして諏訪地方が近くに感じられ、旅に出たくなってしまうのではないでしょうか。

画像提供:(一社)安曇野市観光協会

→次号も、諏訪地方に伝わる龍神伝説についてご紹介します。

当サイトが一番お得空室検索 チャットボットに質問
TOPへ戻る