岡谷市中央町のイルフ童画館は、岡谷市出身の童画家・武井武雄さんが
第2次世界大戦中の空襲の記録や戦後の生活の様子などをつづった
「戦中・戦後気侭画帳」の復刻版を
武井さんの生誕120年を記念し、200冊自費出版しました。
「戦中・戦後気侭画帳」は、
当時、武井さんが偶然手に入れたという和紙の判取帳を使って、
1942年から終戦後までおよそ10年ほどの間に、
つれづれに書き留めた絵日記ふうの記録で、
絵・文字とも手がきで、ほとんどの絵に彩色を施してあります。
これを基にして筑摩書房が73年に「戦中」「戦後」の2冊に分けて出版し、
その後、2005年に2冊をまとめた文庫版が出版されましたが、
現在は絶版となっています。
「戦中」では当時、東京の池袋で暮らし「隣組の防空訓練」を担当していた武井さんが、
自分の目で見た空襲を細大もらさず記録しています。
45年3月の大空襲では、9日夜からB29が分散波状襲来した
「夜の大空襲」などを複数の絵と文章で記録し、
「この世の終わりとハこんなものかと思はれる情景だ(中略)
最も火焔の近くに上った時はもう覚悟をした程だ」と心境を記しています。
「戦後」では、岡谷市西堀の生家へ疎開した際の生活、
終戦後の社会や生活、価値観の変化などを感想を交えてつづっています。
復刻版は、ファンの要望にこたえて出版し、
414ページで、一部作品はカラーで掲載されています。
武井さんの「まえがき」や、
娘の三春さんが書いた「あとがきにかえて」も収録されています。
1冊1,800円(税抜き価格)で、
イルフ童画館と岡谷市の笠原書店にて販売しています。
「戦中・戦後気侭画帳」に関してのお問い合わせは
イルフ童画館(TEL 0266-24-3319)までお願いいたします。
http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=30855
吉本 順子